現代社会での真のリーダーとは(君臣並耕)
世界は米のトランプ政権への移行で動きが急に変わりだした。
一国のリーダーが変わると、このようにあらゆる枠組みや政策が変わるのかと驚くとともに、日本のリーダーについて思いを寄せてみた。
本日の熊日新聞朝刊に元熊本県知事で内閣総理大臣の細川護熙氏の著書「私のプリンシプル」への姜尚中氏の論評が掲載されていた。

この本は以前、熊日新聞での企画をまとめたもので、企画ものは毎週注意深くワクワクして読んだものだ。中味はリーダーの生き方・振舞い方が中国やヨーロッパの偉人、歴史書から引用し「12のプリンシプル」として整理され、併せて細川氏の政治活動の要点も注入されている。
その中で、私が政治家の生き方として特に注目したのが中国の思想家孟子の格言です。
「君臣並耕(くんしんへいこう)」
意味は❝真の賢者は人民とともに耕作して喰い、朝食・夕食の炊(かし)ぎなど雑用をいとわずして、政治をみるもの❞
この言葉に政治家としての本質を見つけた思いで感動した。果たして現代社会に想いを馳せたときこのような政治が為されているのか、甚だ疑問である。
一昨年からの「パーティ券のキックバック」が政治とカネの問題として国会内外で議論され、「政治には金がかかる」と多くの政治家が口にしたが、私は一部は理解するものの政治の本質である「君臣並耕」の精神とは真逆であり、政治家の原点という哲学の欠如と言える。
毎日のニュースや週末の報道番組では、アメリカのトランプ政権の関税政策に振り回される各国の様相映し出され、あるコメンテーターが我が国のを「朝貢外交」と表現したのには愕然とした。
通商交渉では国益を追求することは重要で、「一粒たりともい入れない」とした戦後日本の農業政策を大きく転換した1993年12月の細川政権のガット・ウルグアイラウンド(多角的貿易交渉)の妥結に向けたコメの部分開放を思い出した。
しかし、今日のようにアメリカ一国追随で良いものかと、経済的な相互依存を1つの目的に1972年に同じアジアの一員としての中国との国交正常化を実現した田中角栄元首相の取り組みも併せて思い出された。
また、田中角栄元首相はオイルショックでアメリカ追随が国益に反するとし、原油輸入をアメリカから中東へとシフトしアメリカ一国追随を解消としたことで、ロッキード事件で痛い目に合った。
※朝貢外交(ちょうこうがいこう)とは、歴史的に小国や周辺国が大国に貢ぎ物(朝貢)を献上し、その見返りとして庇護や特権を得る外交スタイルを指す。(Copaiotから引用)

戦後80年を迎えた今日、社会・経済は大きく変化している。
私たちは戦後の平和を振り返りながら、中東や東欧での争いや関税政策といった対立が激化する中で、国益と併せて全世界の平和を追求しなければならないと思う。
その基盤となるのが歴史の指導者たちの生き様であり、培われた哲学であり、シリーズとして私の想いを綴っていきたい。
次号に続く