欲無ければ一切足る

「人としては、おのれの身持ちを簡素にし、贅沢をせず、財宝を持たず、この世の利得に執着しないことが立派だと言えるのだ。昔から賢い人で富貴な人物は稀だ(徒然草第18段)」

「世間の名誉とか利益といったものにあくせくし、静かに落ち着いた暇を持たずに一生を苦しみ続けて過ごすのは馬鹿げたことだ。なまじ財産があると、そのために身を守らんとする。そんな心が、害を引き寄せ、煩わしい問題を招くことになる(徒然草38段)」

以上、熊日連載『細川護熙氏連載「私のプリンシプル」』から引用。

熊日「私のプリンシプル」から引用0231230

連日、マスメディアを賑わしている自民党パーティ券のキックバック問題は混迷する国際情勢や経済問題が山積する時期に辟易する案件だ。

根底には「政治には金がかかる」と言う評論家や政治家がいるが、一理はあると思うが、本質は選挙であり、政治家の権力欲と有権者の我欲が産み出したものに他ならない。

冒頭に引用したように、遥か昔、吉田兼好は「欲無ければ一切足る」を説き、質実剛健を心掛け、所有を極力切り詰めることを賢者の条件と述べている。

この問題で「政治家は何を目的に政治を志し、目的達成にどのような行動を起こすべきか」、また、「我々有権者はその行動にどのように向き合い、行動すべきか」が問われている。

細川忠興の妻ガラシャは「散りぬべき 時を知りてこそ 世の中の 花は花なれ 人もひとなれ」との辞世の句を残している。

更には、宗の「張詠(地方長官)」はリーダーの条件として『人を挙ぐるにはすべからく退を好む者を挙ぐるべし。退を好む者は謙虚にして恥を知る』と言っている。

この意味は「常に引き際を考えている人物は心が綺麗で恥を知っているから誠心誠意努め、その職責を汚すようなことはまずないと言って良い」といこだそうだ。

これは、政治家にも当てはまるもので政治には目的・目標、期限を設定し、達成の暁の引き際をセットで考える必要があるが、ずるずる、だらだらと私利私欲のための政治家が多すぎることだ。

約30年前の細川連立政権下で実現した小選挙区比例代表制や企業・団体からの政治献金を禁止し、政党助成金を創設した選挙制度改革の綻びが露呈したものだ。

今一度、足許の政治を見直すことが必要ではないか。

熊日朝刊(20240109)

暮から噴出しているパーティ券問題は、丁度30年前細川政権と自民党でまとめ上げた政治改革法案が根底にある。

30年かけて修正をしてこなかった政治家の怠慢で、特に、政権与党自民党の欺瞞である。

それをチエック出来なかった野党も含めてもう一度、解党的出直しが必要ではないか?

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