ベトナム紀行(3)

(長旅)

3日目は車で往路6時間の長旅で、ダクノン省にベトナムのロータス社が所有する50haの農地視察に出かけた。

一行はロータス社の車で同社責任者と有機農業経済研究所フン博士・研究員、我々3人の計7人でこれから始まる未知の世界へのアプローチにワクワク・ハラハラの珍道中となった。

車中では我々のミッションの一つでもある、技能実習生の受け入れについて通訳を交え、有機農業経済研究所フン博士と協議をした。

その中で、有機農業経済研究所は農業及び関連分野の人材育成を目指していること。

フン博士は日本、特に徳之島のマンゴーやたんかん(柑橘類)、胡椒などの農産物やその技術習得のための技能実習制度に強く興味を示している。

持ち帰り組織で協議するとともに、技能実習生送りだし機関のトコンタップ社との協議を進めるとのことだった。

(朝食)

早朝のホテル出発であったことから、少し遅めの朝食を道中沿線のレストランでベトナムの定番「フオー」を美味しく頂いた。

フオーは日本の肉うどんのようなもので、私たちの口には合った。

また、ベトナム人は外食が好きで、朝・昼・晩、道端の屋台や道路沿いのレストランで食事は安価で手軽であることから好まれているとの事。

イベントなどに出向く日本のキッチンカーのように天秤を担いだ人があちこち工事現場で商売をしているのを見ることが出来た。

(タクノン州)

私たちが目指すタクノン州はベトナム中部高原に位置し、北はカンボジアに接しボーキサイトを豊富に産出する地域です。

車中から見渡す山肌は赤く農地も赤土で多分、酸性度の強い土質だと感じたことから途中車を止めてPHを測ったところ6.9と作物を栽培するには丁度いい土質であることに一同驚いていた。

ここにロータス社は50haの農地(山間部)を国から借地し、内5haは日本の農産物の栽培を予定しているとのことで、土質・標高等々の条件を調査した。

国からの借地期間が49年と中途半端であることから同行担当者に聞いたところ、ベトナムは共産主義国家で土地の所有は認められておらず、有料の借地で50年では長すぎることから49年になったとの事、良くわからない回答であった。

農地の視察

現地は見渡す限りの山岳地帯で、コーヒーやバナナ、天然ゴムが一帯に広く栽培されたプランテーション(大規模熱帯農園)です。

プランテーションはかつてはフランスの植民地時代に資本家が熱帯、亜熱帯地域の広大な農地に大量の資本を投入し、国際的に取引価値の高い単一作物を大量に栽培していた。

現在ではベトナム国内の資本家が行っており、共産主義国家の大きな変容を感じた場面だった。

コーヒーの木
ゴムの木
広大な山岳農園

OSAKA CAFÉ

引切り無しに往来する人やバイク、自動車に活気に満ちたベトナムの躍動感を感じながら、往路のBreakタイムを沿道の洒落た喫茶店で取った。

洒落た喫茶店

フランスの植民地時代(1882~1945)が永かったことからコーヒーとフランスパン(バゲット)が美味しいと言われるベトナムで飲む“OSAKA CAFÉ”は独特の淹れ方と味全てが印象的だった。

パンのほかにもプリン(牛乳の代わりに練乳を使って、こちらもベトナムふうに進化)、シュークリームなどフランスの食文化が生活に根付いている。

フランスによる占領は、その他の食文化にも大きく影響している。フランス政府は占領するとただちに本国から一流のシェフたちを招き、本格的なフランス料理をベトナムでも再現しようとしたそうです。

その様なことから、ベトナムは、東南アジアの中でもフランス料理の美味しさで知られているが私たちは一度も食べたことが無く、逆に日本の寿司やうどん、牛丼、ラーメンが人気で多くの店が出店していた。

(lunchタイム)

車に揺られて6時間、丁度、お昼の時間で沿道のレストランでは多くの人たちが昼食を摂っていた。我々も入り口がフルOPENの店に入りコロナの心配も無く、この地域特産の鶏料理に舌鼓を打った。

同行した現地のスタッフが言うには、ベトナムでは鶏料理は放し飼いの鶏しか使わないとの事、そして、近い将来はブロイラーのようなゲージで飼われた鶏の使用は禁止されるとの事が興味深かった。

フルOPENのレストラン
鶏料理

(ディナー)

往路12時間の車の旅でようやくホーチミンに辿りついたときは疲れと同時にホッとした。

ロータス社からのディナーのお誘いを受けた私たち一行は、同社メイ会長が待つレストランに直行し遅めの夕食を摂った。

流暢な日本語を話すロータス社のメイ会長(※1)は我々を歓迎し、同社が持つ広大な農地に日本の農作物を栽培したいとのことでした。

徳之島のマンゴーやたんかん、サツマイモに興味を持ち、栽培現場を日本、徳之島に見に行きたいとのことで、後日、日程調整をするとの事であった。

ロータス社メイ会長とのディナー

※1)ロータス・フード・グループ合資会社は2014年にホーチミン市設に立され、資産運用やレストラン経営の他、製造業や金融サービス他を営む企業でリーダーは、LE VAN MAY女史(右から3番目)

(つづく)

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