いま俊傑こそ求める時代

細川護熙氏は「私のプリンシプル(熊日掲載)」でリーダーの条件を中国の歴史書「十八史略」の「堯舜の治」から次のように引用・表現している。

堯帝は自らの治世が上手くいっているかを重鎮や官僚、民間の有識者たちに尋ねても、いっこうに要領を得ず、ラチがあかないことから市井の雑踏の中に入り、耳を澄ませてみた。

老若男女、尭帝の治世の悪口を言うものが見当たらないことから、まあこれなら政治が空回りしていることもないだろうと感じた。このことを細川氏は次のように表現している。

トップは帽子みたいなもので、軽ければ軽いほどいい、トップの存在をスタッフの人たちがあまり気にしないくらいなら、トップとして合格点ということでしょう。』

また、『乱世では常に命をかけたギリギリの場に生きていくことを要求され、リーダーは虚飾をはぎとった裸の実像がさらけ出されるもの』と書いている。

果たして現在はどうでしょう?熊本では TSMCという黒船の来襲で県北地域は一喜一憂し、県も「100年に一度のチャンス」と舞い上がり、右往左往し、将来への備えに無関心である。

また、為政者や官僚は30年前の細川県政時代に蒔いた種が今、「必然」に芽吹いたことを知らず「偶然のチャンス」と捉えていることに違和感を持つものです。

国政では、コロナ禍が収束し一安心というときに、ロシアのウクライナ侵攻での経済・社会の衰退・混乱の中で、東西という枠組みの中での応酬がメディアを賑わせている。

細川護熙氏は「十八史略」の「堯舜の治」から『昔の人たちは人材こそものごとを成し遂げる鍵だということで、天下に人材を求めてどれだけ努力したか。』と当時を読み執っている。

『ひるがえって今日、山積する時務の中で、三願の礼、四願の礼で、俊傑を探し出さなければならない時代と思うのですが。』と自戒している。(※ 俊傑=才知などが常人よりすぐれていること。)

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