リーダー旗を掲げ走れ(リーダー論)
細川護熙氏は「私のプリンシプル(熊日掲載)」でリーダーの条件を次のように引用・表現している。
細川護熙氏の進退の原則は「誰にも相談することなく、目的を達成すれば退く」との事で、熊本県知事及び内閣総理大臣の時も同様だったと言う。
氏は、国の指導者として懸案を片付けるのには執着するが、ポストに居座って権力に恋々とすることは最も忌み嫌う事だとも言っている。
この原則をキンキナトウス(※1)のたとえ話で言うと、古代ローマが外敵で全滅の危機にある時、元老院はティベリス川の向こうで百姓をしていた彼を独裁官に任命した。
彼は期待に応え敵軍を半月で撃破するも、半年の任期を返上しさっさと元の農民に戻ったという。「君臣並耕(孟子)」
君臣並耕とは、「真の賢者は人民とともに耕作して食い、朝食夕食の炊ぎなど雑用をいとわずして、政治をみるものなのだ」との意味である。
(※1)共和政ローマ前期に登場する伝説的政務官。古代ローマ人の美徳と武勇を現す人物として後世に長く伝えられた。
また、中国の古典には「人を舉ぐるには、須らく退を好む者を拳ぐべし。退を好む者は廉謹にして恥を知る。」とあり、リーダーたるものは常に「退」という事を腹中に置いておかなければならないとある。
更には、政治手法として「タイムリミットの無い計画は計画とは言えない」とし、日本の政治は旗印や時間・コスト感覚も無いからロマンのある話にならないと手厳しい。
そして、何をやりたいかと言う目的(旗)を掲げたら、指導者が先頭に立って突っ走る。「狂人走れば不狂人も走る(沙石集)」でドン・キホーテのような人が走り出さなければ世の中は動き出さないとも言う。
リーダーの条件の一つとして、「太い幹をしっかり守っていく一方で、枯れた枝葉は秋になれば思いきって切り落とす」と言う表現もしている。
これは、幹を残すことは「保守」で枝葉を切り落として次の春に新しい緑の新芽が萌え出すの待つことは「革新」で裏表の話と言う。
そして、最後にリーダーは「朝令暮改」は朝飯前位で無いとダメで、肝心なところだけは押さえて後は適当に話を合わせる事も必要で「批判は自由、行蔵は我に存す」と言う。