ロータス社一行徳之島紀行
【徳之島1日目】
2022年10月21日13時25分JAL機でベトナム国のロータス社メイ会長とブ取締役が空港到着した。お二人とも徳之島は初めての訪問で緊張気味のご様子でした。
当日の徳之島は少し風はあるものの、絶好の天候で、早速、空港内のレストランで郷土料理の「鶏飯」で少し遅めの昼食を共にし、遠来のお客様をお迎えした。
「鶏飯」は奄美地域を代表する郷土料理で、かつて、奄美群島が薩摩藩の支配下の時代、非常に貴重であった鶏を余すことなく使ってつくった「鶏飯」で役人たちをもてなしたという。
(農水省「うちの郷土料理~次世代に伝えたい大切な味~」から一部引用)
【徳之島コーラル】
昼食後、天城町役場企画財政課の若手職員も合流し空港から約20分の「徳之島コーラル㈱」に直行した。
「徳之島コーラル㈱」は今回のホストでもある福田実氏の会社で、従来からの路盤材やブロック・テーブルなどの建築材を中心に生産している。
近年これらにに加え、土壌改良材や飼料として脚光を浴び、生産が追い付かないほどの受注があるとの事でした。
特に、東日本大震災での福島の原子力発電所から漏れた放射能の除染にも活用が見込まれ、今後の実証に大いに期待がもてるとの事でした。
ロータス社がダクノン省に持つ約50haの一部農地への土壌改良剤としての可能性や建設資材としての付加価値を高めたマーケティングの必要性を話されていたのは印象的でした。
【和牛飼育現場】
ロータス社は2014年にホーチミン市で設立され、日本の食品の輸入や資産運用、レストラン経営の他、製造業や金融サービスを営む企業です。
特に日本食品の卸や吉野家に代表される日本の外食チエーンストアのフランチャイズを多数展開していることから、素材への興味が高く鹿児島の和牛の供給元でもある徳之島の畜産農家を興味深く視察されていた。
【犬の門蓋】
視察の合間の観光地巡りに「犬の門蓋」を訪ね、ひと時の観光を楽しみました。
「犬の門蓋」は東シナ海に面した海岸で、隆起サンゴ礁が長年にわたる浸食によりできた奇岩や断崖があり変化に富んだ景観は見事です。
名前の由来は昔、大飢饉のとき、人畜を襲う野犬を海中に投じたという逸話からこのような呼称がつきました。
【表敬訪問】
夕方4時から地元天城町長への表敬訪問では公務多忙の中、森田町長他祷総務課長や山田農政課長のトップスリーと職員手書きの温かい「welcome」看板での出迎えに一行は感激ひとしおでした。
メイ会長の流暢な日本語での今回訪問目的の説明に森田町長も大変興味深く聞き入り、天城町の現状を話され、和気藹々の内に時間は過ぎていった。
特筆すべきことは森田町長から今後について「行政としてどのような協力が出来るかを検討していきたい」との前向きなお言葉をいただいことに天城町行政の産業振興への積極性を感じました。
【マンゴー園】
約30分の表敬訪問を終え、福田社長が経営するマンゴー農園へと移動しました。
今回訪問の大きな目的でもある徳之島農産物のひとつ、マンゴーのベトナムでの栽培の可能性を探るため、メイ会長とブ取締役は綺麗に剪定されたマンゴー園で様々な質問をし可能性を探っていた。
福田社長からは徳之島のマンゴーのルーツはベトナム国であり、ベトナムの原種に接ぎ木をすれば立派なマンゴーが獲れるとのアドバイスに一行も手応えを感じていました。
【welcomeパーティ】
マンゴー園の視察を終え、一行は宿泊地のビジネスホテルの「伊宝」に到着し、約1時間の休憩の後歓迎会となった。
このホテルもホストである福田実氏の経営で、当日は満杯のお客様で盛況な様子が窺えました。
奥さん手作りの「島料理」は種類及びボリューム満点で美味しく、メイ会長並びにブー取締役もご満悦の様子でした。
私も久しぶりのご馳走に我を忘れ食べている内に写真を撮るのを忘れる失態をしてしまいました。
一枚だけの写真は料理前の伊勢海老で伊勢海老の唐揚げと翌朝の味噌汁は最高に美味しく、豚骨の煮込みや魚のフライ、パパイヤのサラダ等、島料理の定番を堪能した夜でした。
おもてなしの席には料理を担当した人達や徳之島にお嫁に来ているベトナムの女性夫婦や昼間同行した真田さんの奥様も同席しました。
さらには、地域づくり協力隊で大阪から来ている若者など総勢10人で島独特のwelcomeパーティで一日目が終わりました。
【徳之島2日目】
昨日の好天も一変し、朝から曇り空の風の強い1日となりました。 今日はお二人ともお帰りになる日で、ブ取締役は朝一便で大阪へ、また、メイ会長は2便で東京へと出発することから急ぎ足の視察となりました。
【島の農園】
このように雨や時間差の出発で短時間であることから概ね、車内からの視察が主となり、昨日見れなかった「タンカン農園」や「唐辛子」、「メロン」の圃場と「農業試験場」の実習風景を視察しました。
その後、メイ会長を空港までお送りし、ロータス社御一行の1泊2日の徳之島視察が終わりました。
【儲かる農業】
課題
今回のベトナムロータス社御一行の訪問は徳之島農業の飛躍のヒントが多くありました。
それは農業で将来的に夢や希望が持てる「儲かる農業」の推進です。 国は農地の集約化を推し進めている。
しかし、徳之島では一人当たりの耕地面積は狭く、1位:0.5~1.0haが158 経営体、2位:1.0~1.5haが137 経営体、3位:2.0~3.0haが135 経営体、20.0~50.0haが3経営体です。
少しずつではあるが集約化は進みつつあるものの、集約化出来ない農家が大多数であることから、単一作物の生産性を高めるか生産性の高い作物の生産が必要である。
一つは、「大規模粗放農業から緻密な管理農業への転換」です。 従来の砂糖キビやジャガイモ栽培からマンゴーやメロン、パッションフルーツ、タンカン等々の熱帯農業が少しずつ定着・進化してはいる。
しかし、消費者が志向する「安心・安全性」や「品質・量・均一・美味」と言った市場ニーズへの対応が課題である。
次に、「生産から加工、販売といった6次産業化」です。生産現場には台風や暑さでの重労働と言ったハンディはあるものの、ビニールハウスや機械化への補助の充実があります。
併せて農業センターでの研修制度が整っていることから、科学的な根拠や数値を用いた農業への転換することです。
また、小規模農家での大量生産が難しい中で少量・多品種をJA等の組合や商社を経由せず首都圏のレストランや食堂との個別取引を目指す事です。
その手段として、首都圏のレストランや八百屋を徳之島に招き、農産品の調査や料理教室を開き、売り込みを図ることです。
また、徳之島の若い農業経営者と首都圏のレストランでセレモニー的に島の農産物を使った試食会や料理発表会を行うことも併せて必要です。
さらに、ブランディング化です。メイ会長はこのブランディング化による付加価値を高め高い値段で販売することを強調されていました。
品質や安心・安全性は必要最低条件でそこに徳之島の自然や伝統・文化などの世界自然遺産と言った絶対的優位性でブランディング化し付加価値を高めることが重要と力説されていました。
特に大事なことは販路の開拓という出口戦略の確立で、日本食へのあこがれが強く現に牛丼の吉野家等、日本の外食チエーン店のフランチャイズチェーン店を多く展開し盛況を博している中でベトナムの富裕層への売り込みが手段としてあるとの事でした。
以上のことが今回のロータスグループ御一行の徳之島紀行で感じたことです。
以上