穴川夜神楽2023

(穴川夜神楽)
熊本県の菊池市北部で大分との県境近くにある穴川地区に300年以上前から伝わるとされている『穴川夜神楽』が5日夜、奉納され、8年ぶりに妻と見に行きました。

熊本県菊池市穴川地区

(鬼神の舞)
神楽は毎年1月5日に五穀豊穣と無病息災を願って奉納され、弓や剣などの舞の奉納の後、鬼神が持つ青竹の先に付けられた御幣が無病息災のお守りになるとされ、御幣をとろうとする参拝者と青竹を叩きつける鬼神との攻防が圧巻でした。

穴川夜神楽2023

(幻の椎茸204号黒香)
穴川地域は林業や椎茸栽培が盛んで、椎茸の原種と言われこの地域でしか栽培が許されていない「幻の椎茸204号黒香」は椎茸本来の味と香りと歯ごたえを備え、全国でも穴川地区の五組の夫婦だけが栽培しており、まさに幻の逸品と言われる所以です。

幻の椎茸204号黒香
幻の椎茸204号香

(緒方家)
例年、市内外からの大勢の見物客が訪れ、鬼神の舞のクライマックスの後、旧知の緒方さん宅にお邪魔しました。そこには鬼神の舞手の息子(元一さん)や神楽の舞手のお孫さん、遠くから知り合いや地域の老若男女が集まり、恒例の夜神楽後の新年会が催されていました。

緒方家

(後継者)
私は現職中に仕事で頻繁にこの地域をお邪魔していますが、いつも感じるのは地域の人たちの連携の強さと伝統・文化を大切にしている姿勢、それを繋げる努力でした。

今回もそれを強く感じた一場面がありました。それは、笛や太鼓、舞手や関わるメンバーに若者が多く、多くは地域外に仕事や住まいを持っているが、毎年1月5日の神楽を中心に年間の行動が組み立てられ、その時期になると皆は地域に戻り練習に励むとの事でした。

そして、演じる人たちの家族が一緒になって楽しんでいる光景でした。「お父さんかっこいいー。頑張って」とエールを送る小さな子どもの目が輝いている光景は真の家族や地域のありようを痛感させられました。

(動機)
今回の鬼神の舞手は「小さい頃から親の姿を見て育ち、かっこいい!が自分が舞う動機」と語ってくれました。

また、その息子さんは小さい頃から神楽に参加し、今は沖縄の大学に通っているが毎年この時期には帰省し、皆と一緒に練習をして本番に臨むとの事でした。

ここ30年来国内では、地方の過疎化、少子化、限界集落等々衰退イメージの単語が踊り、その対策として様々な政策・施策が行われてきたが、思ったような効果及び改善策が見出されていないのが現実でした。

(自助・共助・公助)
しかし、ここ穴川地区には自分たちの村は自分たちで守ると言った「自助」の精神が脈々と受け継がれ、様々な面で実践されていました。

まさに、日本の2023年の目標とする地域の姿がここだと神楽を見て地域の老若男女と語り合う中で確信しました。

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